豊田化工 株式会社


V字回復の歩み その2

はじめに

弊社では2008年11月まではやや固定費の増大が気になる程度で比較的順調に業績の回復を実現出来ました。ところが2008年12月に恐れていたその時がやってきました。リーマンショック以来構えてはおりましたがまさか売上が突然40%近くも消失するとは想像もしませんでした。

1月より弊社も生き残りを賭け、3名で色々な対策とシミュレーションを繰り返し社内外メンバーの協力を得て、最終的に1〜6月までに以下の対策を順次行いました。

1)残業禁止
2)緊急対策として1年間の給与13%カット
3)逆営業活動になる品質クレーム多発メンバー3名解雇
4)山梨方面への契約便の社内便化
5)外注加工費の制限と内製化
6)4名の追加解雇
7)金融機関にリスケジュール折衝
8)木・金曜日の休業と中小企業緊急雇用安定助成金の受給
9)休業日の電力使用量0を狙い設備の完全シャットダウン
10)外注加工費の10%値引き交渉
11)借り入れ外部倉庫使用スペースの半減
12)在庫削減
13)成形機消耗部品の成形機メーカー以外からの安値調達
14)不要不急設備の修理延期・安値修理業者の選定
15)雑費の見直し削減

残業禁止や給与カット、解雇と従業員には申し訳ないと思っております。その代わり目標としていた少数精鋭化は進みました。
外注加工の内製化では、やはり社内に負荷をかける事になりましたが、ではどうするかの葛藤の中で少しづつ知恵と工夫で解決する結果、無駄が少なくなりつつあります。

リスケジュールは初めての経験でした。情報集めから始め、信金の支店長への打診〜全金融機関の決定まで1ヵ月半かかりました。最も早く反応してくれたのが日本政策金融公庫(旧国金)です。次に八十二銀行、最後に信金が了承してくれました。了承までにかなり時間を要しましたが、どうやら信用保証協会がなかなかハイと言ってくれなかったのが原因です。中小企業緊急雇用安定助成金の申請もかなりの負荷を感じています。毎月申請の仕方のルールが変化したり、3時間も待たされたり、なかなか大変です。通常時であれば、これだけの時間を使えば、もっと生産性の高まる仕事が出来ると思います。
因みに、当社は3月から5ヶ月休業を行っていますが、7月中旬段階で未だ受給は1回もありません。国の手続きがキャパ的に無理なら、手続きを簡素化すれば良いのにと思います。

借り入れ外部倉庫のスペース削減も、昨年春頃には「絶対無理」と言われていたのですが、絶体絶命の時にその気になれば達成してしまいました。

在庫も5月には昨年11月対比で65%を達成しました。その代り生産計画は細切れ計画になり、月間100回の段取りが130回と増加しました。現場には負荷をかけています。しかし負荷をかけている割に不良率は小さくなっています。

成形機の逆止リング等、消耗部品代が馬鹿にならない事は前々からの悩みでした。
一度設備を購入すると、その設備がいわば人質になってメンテ部品は言い値で買わなければなりません。
先端セットを購入すると約30万円、昨年末に交換したシリンダーは1本120万円でした。

すぐ消耗するのにどうしてこんなに高価なのかと思い続けていましたが、ある時「高硬度のチェックリングも供給できます」と県外のメーカーがセールスに来社しました。これを機会に更に三社検索し、材質別の見積もりを取ったところ、成形機メーカの見積の半値で購入。併せて、射出成形不良の永遠のテーマ「コンタミ」対策として、スクリューの研磨を始めました。6月末現在4本実施完了、評価中です。7月第4週に3名研修に出します。

設備の修理もメーカ修理後の請求書を見て、どうしてこんなに高いのだろうかと毎回ため息が出ていました。
折も折、周辺設備メーカーの諏訪地域のサービスステーションが閉鎖となり、簡単には修理が出来なくなり、且つ修理出張費が大幅に高くなることが予想されているところに、いきなり数台が故障発生してしまいました。

今回の恐慌では通常の予算は使えないので試しに、出入りの電気工事屋さんに相談してみましたところ図面も無いのに、原因を解析し修理してしまいました。
電気工事士は下手なメーカーサービスマンよりも優秀だと認識を新たにしたところです。@は半分以下で済みました。この手は、今後も使えそうです。

雑費も伝票を基に数人で見直し作業を行いました。細かいところでは、ダスキンの削減:従来1回使いで回収行きに入れていましたが、これを3段活用することにしました。2段入れのダスキンボックス2台に「新品」→「1回目使用」→「2回目使用」→「回収 油汚れなど」と表示し、徹底的に使い切ってから回収するようにし、費用は半減、富山の薬売り方式の薬ボックスも会社発足以来続けていましたが、便利な様で余り使っていない事が判明し、廃止の上自前の薬ボックスに変更しました。

以上の対策で、当社の損益分岐点売上高は従来比69%に低下し、再度利益体質は構築できたものと考えております。
そうこうしている内に、6月頃から注文が回復し始め、7月は現在のところ対前年度比85%程度まで回復しつつあります。
一部機種の増産のおかげで、有り難い事に4台は10月まで土日も停止できなくなりました。中旬から残業も増え始めましたが、前向きな残業は全て許可しています。

リーマンショック後の経営状況090927